イケメンルーキーに恋をした


「神村!!」


ざわつく廊下で大声で名前を呼ばれて振り返ると、人波を器用に避けてこちらに歩いてくる岩石先輩がいた。


あたしは素早く涙を拭きとる。


「探したよ」


ずっとあたしを探していたんだろうか。


先輩は少し息を切らせ、手に持っていたビニール袋を持ち上げた。


「これ、なんですか?」


「神村、クラスの出し物してからまだ昼飯くってないんだろ?」


ああ……。

昼ご飯。


そうか、忘れてた……。


「さっき市原のとこ行ったら食べてないかもっていってたから、これ」


そう言って、ビニール袋をあたしに差し出す。


中身を確認すると、8個入りのたこ焼きだった。


「まぁ、今まで自分が売ってたものを食べたくないかもしれないけど、なんか食わんとダメだよ」


「ありがとうございます」




< 226 / 323 >

この作品をシェア

pagetop