イケメンルーキーに恋をした
「神村!!」
ざわつく廊下で大声で名前を呼ばれて振り返ると、人波を器用に避けてこちらに歩いてくる岩石先輩がいた。
あたしは素早く涙を拭きとる。
「探したよ」
ずっとあたしを探していたんだろうか。
先輩は少し息を切らせ、手に持っていたビニール袋を持ち上げた。
「これ、なんですか?」
「神村、クラスの出し物してからまだ昼飯くってないんだろ?」
ああ……。
昼ご飯。
そうか、忘れてた……。
「さっき市原のとこ行ったら食べてないかもっていってたから、これ」
そう言って、ビニール袋をあたしに差し出す。
中身を確認すると、8個入りのたこ焼きだった。
「まぁ、今まで自分が売ってたものを食べたくないかもしれないけど、なんか食わんとダメだよ」
「ありがとうございます」