イケメンルーキーに恋をした


プラスチックの容器を開けると、香ばしいいい匂いが体に入ってくる。


それでも、あまり食欲は出てこなかった。


田尾くんのせいだ……。


あのふたりが気になって、たこ焼きどころじゃない。


「またなんか問題抱えてんの?」


「……え?」


渡り廊下の壁に腕をついて下を見下ろしている岩石先輩を見上げる。


すると、先輩はクルリと振り返り壁に寄り掛かってあたしを見下ろした。


「神村はわかりやすいからね。何かあるとすぐに顔に出る」


そう言って、自分の顔を指して口角を上げる。


生徒たちのざわつく声と、スピーカーから流れるテンポのいい音楽が遠くに聞こえる。


文化祭の楽しい雰囲気から少し遠いこの場所で、あたしはギュッとたこ焼きの容器を握った。


あたしって、わかりやすいのか……。


すぐに顔に出てしまう癖、どうにかしなきゃ。


周りに迷惑を掛けてばかりだから。




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