イケメンルーキーに恋をした
……え?
「俺、苦手なんすよね。しつこい女って」
そ、そうなんだ……。
じゃ、あやねちゃんと上手く行くってことは、ないってこと……?
ってことは、あたしにも、まだチャンスはあるってことだよね……?
口元が自然と緩んでくる。
「んあ」
田尾くんがあたしに向かって、急に口を開けてくる。
「……え?なに?」
少し体をのけ反らせると、田尾くんはまた不機嫌になり眉を寄せた。
「俺、腹減ってるんスよ。早くそれ食わせてください」
そう言ってまた口を開ける。
……え。
あたしに食わせろと……?
田尾くんの口に、あたしがたこ焼きを運ぶの……?
「え、ちょ……自分で食べてよ!!」
あたしは緊張で震える手で、たこ焼きの容器を田尾くんに差し出した。