イケメンルーキーに恋をした


軽快な音楽が流れる店内は、クーラーが聞いていて涼しい。


高校生のあたし達でも買えそうな低価格の物が置いてあるけど、どれも女の子向けって感じの物ばかりで、高3の男子が喜びそうなものは何もない。


「店の選択ミスなような気がしますけど。全くイワシ先輩のイメージじゃない」


ハート柄のマグカップを手にした田尾くんが眉を寄せる。


「うん……。あたしもそう思う。だけど、あれ見てよ。あの子、多分、ここで決めるつもりだよ」


あたしは、ひとりであちこち店内を見て回ってるさおりを顎で指した。


「あ!このマグカップとか以外と良さそう。ね!受験勉強の時コーヒーとか飲んで眠気を飛ばしてさ!」


あたしは田尾くんの横にあったブルーの花柄のカップを手に取って田尾くんに見せた。


「値段的にもこれくらいならあたしにも買えるし、これにしようかな~」


ブルーだし、別に男の人が使っててもおかしくないよね。




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