イケメンルーキーに恋をした


「見てみて!あたし、これにする!!」


震えるくらいの緊張感漂う中、さおりの高い声でピシャリと思考が途絶えた。


あたしと田尾くんはお互いぎこちなく目を逸らし、さおりを振り返る。


「……え、なに?なんか異様な雰囲気なんだけど」


あたしと田尾くんの表情で何かを感づいたのか、さおりが恐る恐るあたしと田尾くんを交互に見る。


「な、何でもないよ。それより、何にしたの?」


どもりながらも話題を戻すと、さおりは「ジャーン!!」と笑顔で選んだ物を見せてくれた。


「これだよ、これ!!受験勉強で疲れた目をこれで癒してもらおうと思って」


さおりの手に握られていたのは、羊の形をしたアイマスクだった。


中に保温機能があって、疲れた目の上に乗せて眼精疲労を癒す物だ。


「いいじゃん。あたしもこれ。これでコーヒー飲んで勉強頑張ってもらおうかなって」




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