イケメンルーキーに恋をした


岩石先輩の誕生日当日、あたしは部活に入る前にプレゼントを渡そうと思った。


さおりはどうしたんだろう。


朝から渡すタイミングを見計らっていたけど、きちんと渡せたかな。


あたしじゃないから、ちゃんといいタイミングで渡せてるんだろうな。


さおりのように立ち止まらずに行動できるようになりたい。


あたしなんていつも無駄な行動ばかりだから……。


あたしは部室に鞄を置き、先輩へのプレゼントの入った小さな紙袋だけを取った。


部員達はもうみんな部活に行っているのか、部室の中は閑散としている。


“はぁ、もうすぐ先輩卒業だよね……。会えなくなるんだ”


そのあまりにも寂しすぎる静けさに、この前のさおりの言葉が頭をよぎった。




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