イケメンルーキーに恋をした
あたしが背中に声を張っても、振り返ることなくグングン進んでいく。
先輩、怒ってる?
でも、なんで?
なんで怒ってるの?
体育教官室の前から少し進んで、体育館裏の人気のないところで先輩が立ち止まった。
体育館の裏には木がたくさん植えられていて影になっているので、少し涼しさを感じる。
風で葉が動く度に、キラキラと眩しい夕日があたし達を照らす。
サラサラサラ。
木の葉が風に揺れる音と、あたし達の髪が靡く音が重なる。
シンと静まった空間で、先輩が振り返った音が大きく聞こえた。
「どうしたんですか?先ぱ……」
……え?
突然。
本当に突然、岩石先輩に抱きしめられた。