イケメンルーキーに恋をした
亀裂
部活も、授業も、全く身が入らない。
ずっと上の空で、居場所さえなく感じた。
岩石先輩とさおりに会うのが怖くて、自然と体がふたりに拒否反応を起こしてしまう。
そんなの、ふたりに対してとても失礼だってわかってるのに……。
「はぁ……」
「なに朝からため息ついてんの?」
ドクン……ッ!!
教室の自席でため息をついたところを、タイミング悪くさおりに見られてしまった。
心臓を掴まれて、一瞬息が止まる。
「何? 寝不足とか?」
明らかに様子のおかしいあたしを見て、さおりが苦笑する。
「う、ううん。何でもないよ」
サッとさおりから目を逸らし、咳払いをする。
ダメだ……。
どうしよう……。
言えない。
言えるわけがない……。
正直に話したって、たださおりが傷つくだけだ。
そうなる前に、岩石先輩にはきちんと自分の気持ちを伝えなきゃ。