イケメンルーキーに恋をした
あたしはさおりに曖昧な笑みを返し、窓際の自席からグラウンドを見下ろす。
最近ずっと降り続いていた雨も、今日は休憩しているようだ。
中途半端な晴れだけど、久しぶりに雲の隙間から青空が見える。
グラウンドでは1年生が体育の授業をしていて、そこに田尾くんの姿もあった。
サッカーボールを楽しそうに追って走っている。
クラスマッチの時は、全然楽しそうじゃなかったのに。
本当に、バスケが嫌いなんだ。
田尾くんは、友人がシュートを決めると嬉しそうに自ら肩を組み、『もう1本』と言うように、人差し指を立て高々と上にあげている。
初めて見る、田尾くんのキラキラと輝く表情。
遠くてあまりよく見えないけど、一重の目がとても優しく見えて、何だか少し胸が疼いた。
『諦めるのは美海らしくないよ!』
さおりの丸っこい字が、あたしに微笑みかける。
確かに、ここで諦めるのはあたしらしくない。