イケメンルーキーに恋をした


周りからあがる驚く声。


あたしはこの状況にジタバタと暴れたけれど、先輩の力に敵うはずもなく余計抱きしめられたしまった。


「まだ言わないで……」


辛そうな、先輩の声。


あたしからの返事が、わかってるからだ……。


「先輩……みんなが見て……」


「知るかよ。関係ない」


「で、でも……」


「……美海?」


蚊の鳴くような声に、あたしは先輩と一緒に振り返った。


その瞬間、血の気が引いて行く。


さおりの目は、あたしの両肩を掴む、先輩の手。


「あ……さおり、あの、これは違くて……」


ヤバい……。

見つかった。


なんでさおりがここにいるの?


今ごろ部室のはずでしょ?


なのに、なんで……?


もしかして、あたしの後をつけてた?




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