イケメンルーキーに恋をした
「美海……何してるの?」
今までに見たことのない、さおりの青ざめた顔。
あたしを不審に見て、さおりが一歩遠ざかった。
「さおり、違う!! 誤解しないで!!」
あたしが一歩進むと、さおりはまた一歩下がった。
「あたしはただ、先輩に……」
「言えばよかったのに」
……え?
さおりが震える声で言った。
「こんなふたりの姿……見たくなかった……」
さおりの目に、たくさんの涙が滲んでいく。
「あたしが先輩に告白したの知ってるのに……こんな堂々と……こんなところで……」
さおりの声がどんどん小さく地面に落ちて消えていった。
「さおり!本当に違うの!! あたしは……あ!さおり!!」
あたしの言葉を最後まで聞かず、さおりは涙を拭って走って行った。
さおりを求めて伸ばした手は、虚しく宙に浮くだけ。
まただ……。
また、やってしまった……。
いい方法をと考えて出した行動だったのに、それが裏目に出てしまった。