イケメンルーキーに恋をした
「聞きましたよ」
先輩と別れてひとり部室に行くと、男バスの部室の壁にあやねちゃんが寄り掛かっていた。
腕組みをして、目を細めてあたしを見ている。
あたしは、あやねちゃんから目を逸らし俯き加減に部室に入ろうとドアの取っ手に手を伸ばした。
「どうですか?」
あやねちゃんの冷たい声に、ドアの取っ手に掛けた手がピクリと止まる。
「親友を裏切るって、最高の気分だったりするんですか?」
最高の気分?
思わず、あやねちゃんを見る目に力が入ってしまった。
「うっわ、怖っ。人を傷つけといてよくそんな目が出来ますね」
あやねちゃんはわざとらしく腕をさすり、怖がる様子を見せる。
何も知らないくせに。
あたしがどれだけ悩んで、行動を起こしたか……。
今、どんなに辛いか……。