イケメンルーキーに恋をした
「俺をずっと不安にさせてきた罰です」
「罰って……」
田尾くんが強く抱きしめてくれるのは嬉しいはずなのに、何とも言えない恥ずかしさに、あたしは田尾くんの体を全力で押し返す。
ガバッと勢いよく離れたふたりの体。
離れてもまだ、田尾くんの温もりが全身に残っていた。
「先輩、俺がどれだけ不安だったか知ってます?」
田尾くんはそっとあたしの手を取り、自分の胸に持って行った。
「……え?」
意外だった。
田尾くんの、心臓、あたしよりも速い……。
「わかります?先輩と会う度に、俺の心臓こんなんです。先輩の気持ちは分からないのに、たまに真っ赤な顔して先輩が俺を見てくる時は、自分の気持ちを抑えられなくて大変だったんですよ」
嘘……。
「先輩は俺の気持ちに全く気づかないし、イワシ先輩はしょっちゅうミニ先輩にちょっかい出してくるし……」
田尾くんが、前髪をクシャリと握り苦しそうに声を出す。