イケメンルーキーに恋をした
「イワシ先輩がミニ先輩を見る目がマジだったのに気づいた時、俺正直、焦りました。あの人には勝てないと思ったから」
……田尾くんが、そんなことを。
「ミニ先輩はミニ先輩でお人よしが過ぎて色んな人の面倒見るし」
「お人よしって……」
言い返そうとしたけど、また田尾くんに抱きしめれたことによって、遮られた。
今じっくり田尾くんの鼓動を聞けば、尋常じゃない程速い。
あたしの速度と、同じくらいだ。
「本当に、俺のこと好き?」
普段大人びてる田尾くんが、小さな子供のように聞いてくる。
甘えた声で、不安げに。
「好き。田尾くんも……本当に、あたしのことが好きなの?」
あたしだって不安だった。
本当にそうなのかって。
だって、ずっと好きで憧れていた人だ。
信じられなくて当然。
「これでも、信じない?」
田尾くんは一度あたしから体を離し、あたしの頬に手をあてあたしの顎を上げる。