イケメンルーキーに恋をした


あたしは田尾くんの腕をこじ開けるように顔を上げる。


「岩石先輩!!」


一度振ってしまってるから、田尾くんと仲良くしているところを見られるのは、今はまだ気まずい。


「はいはい。んな鬼のように睨まなくてももう俺は手を出しませんよ~」


白のユニフォームの上に紺色のジャージを羽織っている先輩が、両手を上に上げおとぼけた表情になる。


「よかったな、気持ち、通じ合って」


両手を上げた状態で、岩石先輩が微笑んであたしを見下ろす。


「はい。ありがとうございます」


少し気まずかったけれど、素直にお礼を言うと岩石先輩は挙げていた片手を下ろしてあたしの頭をボサボサに撫でてきた。


それを、田尾くんが即座に払いのけ、またあたしの肩を抱き寄せた。


「手を出すなって、今言いましたよね」


「別にいいだろこれくらい。ちっちゃい男だなおまえ」


「次やったら、イワシ先輩でも俺殴りますから」


田尾くんが本気の声で言う。


一瞬田尾くんの気迫に目を丸めた岩石先輩だったけど、すぐにプッと吹き出しケラケラと笑いだした。




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