イケメンルーキーに恋をした


あたしはさおりと眉を寄せて目を見合わせ、とりあえず店内に入り、適当にポテトとジュースを注文して近場の席に座った。


幸い、田尾くんはこちらに背中を向けて座っているから、バレることはなさそうだ。


でも、少し距離があって、会話は聞こえてこない。


「外せない用事って、これ?」


さおりが、チューッとオレンジジュースを吸いながら、探偵っぽい目つきで田尾くんを監視している。


「みたいだね」


あたしはポテトをかじりながら、クルリと後ろを振り返りさおりのように探偵っぽい目つきをする。


「友達とのカラオケを、外せない用事があると断って、こんなに美人と会ってることは、彼女、って事だよね?」


推理するようにさおりが言ったので、あたしは「彼女……?」と繰り返しながらポテトをゴクリと飲み込む。




< 32 / 323 >

この作品をシェア

pagetop