イケメンルーキーに恋をした


「何泣きそうな顔してんすか、ミニ先輩」


ウルウルと涙目になるあたしを、田尾くんが目を細めて見下ろす。


「だって、みんながあたしのこと必要だって言ってくれて嬉しかったから」


そう言って涙を拭うと、周りから「ウェ~イ」とからかうような声が上がった。


弱小の男バス。


田尾くんと言う、スーパールーキーが入部してからたくさんの問題が起こった。


なかなか心がひとつにならなくて、本当に廃部になるんじゃないかとも思った。


だけど、色んな事をみんなと一緒に乗り越えてきたから、今のあたし達がいる。


ひとつになって、文句を言いながらも笑い合える。


この、ひとつになった心のまま、来年は必ずインターハイを目指そう。


いつまでも、みんなから必要とされるマネージャーでありたい。




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