イケメンルーキーに恋をした
いつもあたしひとりでファイルを取りに行っているので、何故先輩があたしの後をついてくるのか不思議で、思わず不審な顔をしてしまった。
あたしは眉を寄せて首を傾げ、体育館の横にある教官室に向かう。
「金曜日、田尾を尾行したんだって?」
先輩に聞かれ、「知ってたんですか?」と目を丸める。
「市原が言ってた」
……ああ、さおりが言ったんだ。
「何も収穫なかったみたいだな」
あたしは細かく頷いて、小さく微笑む。
「田尾くんの生活の中に、何かバスケに関連することないかなと思って尾行してたんですけど……」
「…………」
「彼についてわかったのは、超美人の彼女がいるってことぐらいで」
苦笑しながら言う。
「は!? あいつ彼女いんの?」
先輩が大声で驚いた。
「何だよ。1年のくせに彼女いんのかよ」
あたしは「みたいですね」と、ちょっとすねる。
なんですねるのかわからないけれど……。