イケメンルーキーに恋をした


先輩と体育教官室に入ろうとしたら、中から田尾くんが出てきて、あたしは先輩と立ち止まり目を丸める。


「……田尾くん」


「どーも」


田尾くんはペコリと頭を下げ、あたし達の横を通り過ぎていく。


「おい! ちょ、待っ……」


「田尾ーーっ!!」


先輩が田尾くんを呼びとめようとすると、遠くから田尾くんの名前を大声で呼び、ドタバタと走ってくる何人かの足音が聞こえた。


「田尾ー!! 田尾田尾田尾田尾田尾!!」


半分パニック状態になりながら走って来たのは、いつも田尾くんと一緒にいる4人の男子。


「何だよ、うるせーな」


田尾くんは騒がしい4人の男子達に苦笑する。


「おまえ、なんで黙ってたんだよ!」


「は?」


田尾くんが眉を寄せる。


「は? じゃねーよ!! 美人な彼女がいるの、なんで俺らに黙ってたんだよ!!」


……彼女。



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