イケメンルーキーに恋をした
「いや。ちょっと先生に呼び出されただけ」
「そう……。今、ちょっと期待したんだけど」
残念そうに言う女性は、眉を垂らし切ない表情で田尾くんを見た。
また、っていうことは……。田尾くん、やっぱり何か部活に入ってたんだ。
それが何部なのか、気になる……。
「おー!! 田尾じゃないか~!! 久しぶりだな~」
突然体育教官室から先生の声が聞こえ、あたし達は全員で顔を向ける。
「あ~!! 先生~!! 本当久しぶりですね!!」
女性と、バスケ部顧問の中年太りし出した40代半ばの先生との親しげな会話。
……ん?
今、先生、田尾って……。
「どうしたんだ? こっちに帰って来てたのか?」
「はい。昨日帰って来たんですよ。都会よりちょっと田舎のここが、やっぱり一番落ち着きますね」
「ハハハ。今もまだバスケやってるのか?」
「いえ。もうバスケは卒業しました。だからその分、蓮にまたバスケをやって欲しいって思ってるんですけど、なかなか」
女性が田尾くんを見て苦笑する。