イケメンルーキーに恋をした
ニコッと笑って言った。
彼女じゃなくて、お姉さん……?
あまり似てない気がする……。
「お、お姉さんだったんですか……? あたしてっきり、田尾くんの彼女さんかと……」
あたしの言葉に、みんなが深く頷く。
「彼女!? プッ!! やだ~、やめてよ~!!」
お姉さんは豪快に吹きだし、ケラケラ笑う。
田尾くんはこの状況に面倒くさそうにため息をつき、空を見上げる。
「可愛い弟のことが気になって、ちょっと学校まで見に来ただけ」
そう言って、肩をすくめた。
「姉ちゃんマジでやめてくれ。学校まで来ないで」
田尾くんはこめかみを押さえ、首を横に振る。
「何でよ。 気になんでしょうが、色々」
お姉さんが田尾くんの肩をバシっと叩くと、先生がいきなりパンッと手を鳴らした。
「はいはい。おしゃべりはこの程度にして、おまえらはさっさとファイルを取って部活に戻れ!!」
顧問の先生に背中を押され、無理矢理この場から遠ざけられる。
あたしは田尾くんとお姉さんの会話をもっと聞いていたかったけれど、渋々先輩とその場を後にした。