イケメンルーキーに恋をした
先輩はバスケがとてもうまく人懐っこい性格で、キレイな茶髪はワックスで程よくセットされ、女子が憧れる甘いルックスを持ってるからかなり人気があるけど、ちょっとアホでどこか抜けてるの。
さおりはそこがいいんだと目を輝かせて言うけど、マネージャーで先輩と行動を共にすることが多いあたしとしては、先輩の相手をするのは疲れて仕方がない。
「お!! 試合再開だ!!」
先輩はあたしの肩から手を離し、「ちゃんとマークしてろよ」と、もう一度あの長身の男子を顎で指した。
あたしは先輩の言葉に頷いたけど、その振動でまた頭が激しく疼き手で押さえる。
チラリと体育館の窓から外を見ると、とうとう降り出した雨が徐々に激しさを増していった。
ピィーッと試合再開のホイッスルが鳴り、先輩がクラスをリードしてボールを追う。
あたしは例の1年生に目を向けていたけど、彼からは全くやる気が感じられずボールすら追おうとしていない。
一体、あの子が何なの?
「田尾(タオ)~!!」
コートの外から1年生の男子が応援している。
「蓮(レン)行け~!!」
「田尾走れよ~」
笑いながら応援している男子の目線は、あの長身の1年生に向いている。