イケメンルーキーに恋をした
声援を受けてもやる気を出さない彼は、表情を変えずクールに首を回しダラダラと歩いている。
田尾 連……? それが、彼の名前?
バスケ部マネージャーのあたしからしたら、バスケに全く興味を示さずバカにしたような態度がすごくムカついたけど、なぜか、彼から目が逸らせなかった……。
ボールが体育館に弾む音と、キュキュッと響くシューズの高い音がこだまする。
みんなの声援と、やる気のないコートの中の彼。
ボールが、彼の手に回った。
両手でしっかりボールを掴み、一重のキリっとした切れ長の目をボールに落としている。
ほんの一瞬の出来事だったのに、あたしにはとても長い時間に感じた。
スローモーションで、弧を描いて彼の手から離れたボール。
リング目がけ飛んでいくボールの軌道はとても安定していて瞬きすら出来なかった。
ボールを放った彼のジャンプする姿が美しすぎて、さっきの先輩のようにあたしもポカンと口を開ける。