イケメンルーキーに恋をした
「水分補給したヤツから片付けに入れ~」
「うぃーっす」
返事をした部員達の声が、少しずつ少なくなって、体育館の入り口から人の気配が消えた。
それと同時に、田尾くんが動きだし、水道の陰から顔を出し周りを確認していた。
「田尾くん……どうして隠れたの?」
あたしはまだ小さな声で田尾くんに聞く。
例の先輩に会いにここに来てるなら、別に隠れる必要ないと思うけど……。
「言ってないから」
ボソリ。と、田尾くんが言った。
「俺が、ここに来てること」
「……え?」
田尾くんは体育館から、あたしに顔を向ける。
「先輩には、俺がここに来てること言ってません。中学卒業してから、先輩とは一度も連絡取ってないし」
……え? 一度も……?
「てか、もうわかったでしょ?コソコソここに来て先輩の様子を覗き見て、直接会いに行けない気持ち悪いヤツだって」