イケメンルーキーに恋をした
「田尾くん、本当にだた先輩の様子を見に来てるだけ?」
「……はっ?」
「ちょっとは、先輩に会って、許しを乞おうとか思ってるんじゃない?」
田尾くんの視線がキッと鋭くなる。
だけどあたしは、もう怯まなかった。
「田尾くん、あたし協力するよ。別にひとりで抱え込まなくていいんだよ。だから、正直な胸の内を……」
「……ろ」
田尾くんの低い声が震えた。
「勝手にやってろ」
田尾くんは疲れたように首を振ると、ズボンのポケットに両手を突っ込んで去って行った。
……田尾くん。
田尾くんの黒髪が、風に揺れる。
『勝手にやってろ』
キツイ言い方だけど、ちょっと声が辛そうだった。
イライラしてる言い方ではなかった。
あたしの勝手な判断だけど、手を貸してほしいような、そんな感じに取れた。