イケメンルーキーに恋をした
「おまえだよ……」
「……え?」
「田尾……おまえに会いに来たんだよ」
あたしは先輩と木から少しだけ顔を出し、ふたりの会話に耳をすませた。
「俺……に?」
初めて見た……。田尾くんのあんなに泣きそうな表情。
長身で、他の男子に比べて体格がよくて。
強くて一見キツそうに見えるのに、今はとても弱く、小さく見えた。
「ちょっと話せる?」
日高先輩は、顎でクイッと門の端を指すと、田尾くんに優しく微笑みかけて移動した。
そのおかげで、あたし達は門の壁に隠れることが出来、もっと会話を聞き取りやすくなった。
あたしは岩石先輩と体を寄せ合って耳をそばだてる。
「田尾、元気だったか?」
「……はい」
「そっか……。なら、よかった」
ぎこちないふたりの会話。
かつては同じチームの先輩後輩だったのに……。
久しぶりの再会でこんなにぎこちなくならなきゃいけないなんて……。