イケメンルーキーに恋をした
「ほんっと……。おまえ、バスケ以外になると鈍いよな」
「…………」
「おまえに見せる為にわざと外に出てたんだよ」
「……わざと?」
「おまえの性格上、直接俺に会いに来れないだろ? それなのにずっとこうやってウジウジ悩んで立ち止まったままでさ」
あたしの頬にポロポロ転がる涙に気づいた岩石先輩が、驚いてハンカチを貸してくれる。
あたしは先輩からハンカチを受け取って、バレないように嗚咽を飲み込んだ。
「わざわざ体育館の外に出て仕事してるのは、おまえへのメッセージだったのに」
「……え?」
「俺は大丈夫。今はマネージャーの仕事楽しんでやってるから心配すんな。だから、おまえはおまえのやりたいことをやれって」
「……そ、そうだったんすか……」
田尾くんの声が、泣いているように感じる。
「田尾……」
ジャリ……。
日高先輩の声と共に、歩み寄る音が聞こえてきた。