イケメンルーキーに恋をした
いや、先輩……。
さっきの試合中めっちゃ彼の名前が飛び交ってたじゃないですか……。
一回目を付けたなら、しっかり見ときましょうよ、その辺。
あたしが先輩に苦笑いを向けると、田尾くんはあたし達のやり取りに嫌そうに首を傾げ踵を返した。
「ちょ!! ちょっと待って!!」
あたしは彼の腕を掴んで必死に止める。
「何? てか、誰?」
彼の声は、とても低かった。
一重の鋭い視線が、上から刺さる。
180近くある彼から睨むように見下ろされ、あたしはそっと彼の腕から手を離し、目を泳がせながら俯く。
「あ、いや、その……」
相手は年下なのに、彼の長身とあの鋭い視線のせいで怯んでしまう。
「あ、あたし、あの、バスケ部のマネージャーの神村 美海(カミムラ ミミ)って言います。さっきの試合見てました」
何故だか後輩に向かって敬語。
だって、何だか怖いんだもん……。