イケメンルーキーに恋をした


「ごめんな。おまえを、苦しめたよな」


クッと、微かに聞こえたのは、あたしの嗚咽じゃない。


きっと、田尾くんのもの……。


「もっと早くおまえにこう言ってやるべきだったのに、俺もちょっと怖かったんだよ。おまえに会うの」


先輩も、怖かったの……?


「どう、伝えていいのか、わからなくて」


そうだったんだ……。


どう伝えたらいいのか、わからない……。


そうだよね……。


あたしが日高先輩だったら、同じ事を思ったかもしれない。


話すのが下手なあたしは、どう言ったら気持ちがきちんと伝わるだろうって、相当悩んだに違いない。


「このタイミングを逃したら、もうずっと言えない気がしてさ」


「…………」


「おまえはまだ1年だ。今から部活始めたって遅くない。頼む。バスケ、辞めないでくれ」


「いいん、ですか? 俺、バスケ、やっても」


「何で辞める必要があるんだよ。好きなんだろ? バスケ」



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