イケメンルーキーに恋をした
先輩の言葉を遮って、田尾くんがスクールバックから体操着を取り出す。
それを見て、あたしは先輩と微笑み合いながら肩をすくめた。
いつもクールで落ちついていて、あまり感情を表に出さない人だけど、何だか今日は少し嬉しそうだった。
自分から積極的に話してくれてるからかな?
あたしは胸に抱いていたファイルをギュッと握り、嬉しさのあまり深呼吸をした。
よしっ!
田尾くんが入部してくれたから、あたしも今まで以上にマネージャーの仕事頑張らなきゃ。
田尾くんは、さっそく岩石先輩の指示に従いストレッチをして、少しのブランクを取り戻す為にボールを持たせて自由にシュートを打たせていた。
あたしはファイルを開いて、部員の名前の所に田尾くんの名前を追加する。
部員のデータがぎっしり書かれた表の一番下に田尾くんの名前。
そこだけまだ空白で、これからここがどううまっていくのか楽しみすぎて田尾くんの名前を指でなぞりながら思わず微笑んでしまう。