イケメンルーキーに恋をした


「うわっ!!」


勢いよく出し過ぎた水は思ったよりも早く溜まって、キーパーから激しく吹きだしてしまった。


あたしは慌てて蛇口を閉め、濡れてしまった制服を拭こうと水道の上に置いたはずのタオルに手を伸ばす。


「……げ。タオル忘れてきてんじゃん……。もう最悪~。しかも、水入れ過ぎて絶対味薄いじゃん……」


部員達に怒られる……。


あたしは肩を落として、盛大にため息を吐いた。


その時……。


スッと、伏せる目の前に白いタオルが現れた。


目を丸めて顔を上げると、そっぽを向いてあたしにタオルを差し出す田尾くんがいた。


「……田尾くん」


「ミニ先輩、マネージャーの仕事初めてですか?もう2年目でしょ? そんなドジするとか新人と一緒じゃないですか」


呆れたように言う田尾くんは、更にあたしにグイッとタオルを差し出してくる。


あたしは年下の嫌みに口の端をクイッと上げ、タオルを受け取った。




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