続・捕らわれ姫





まだ校内は部活動をしている時間で、廊下を歩いていると掛け声が聞こえてくる。


それを聞きながら、黙って歩いていた。





「姫野さん家はどこ?」


「………」



「ねぇ!」

「――えっ」



下駄箱の前。私は腕を引かれて気づいた。




「何通り過ぎてんのよ!」


私は、すでに下駄箱を過ぎていた。



「本当だ…」


「――ちょっと、大丈夫?

 さっきから……もしかして熱あるんじゃないの?」



聞きながら、私のおでこに触れる小池さんは優しい。


私を好いてないはずなのに、心配してくれて……

なのに。

私の心はドロドロだ。


< 103 / 204 >

この作品をシェア

pagetop