続・捕らわれ姫






「とりあえず私も挨拶まわりがまだ終わってないから、また後で…」



真っ直ぐな黒髪をサラサラ揺らし、私達から離れる御園さんを見ていた。


……さっきの二人のやり取りに、私は何かが引っかかった。





「さくら、今日の主催者に挨拶に行くよ」



兄様が私の頭を優しく撫でた瞬間、さっきまで気にならなかった会場のざわつきが耳に入ってきた。


……忘れてた。

ここはパーティー会場でした。





気を引き締め兄様を見上げると、笑顔を作った。




「行きましょう、兄様」



その私の表情を見て、兄様は悲しげに笑った。


さっきの御園さんのように……


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