続・捕らわれ姫





「相変わらずのモテぶりだな」



会場をゆっくり進んでいくと、一際賑やかな集団があった。


そこには、女性達がにこやかに一人の男性を囲んで談笑していた。




「このパーティーの主催者であり、将来、M&Cグループ総裁になる方だよ」


耳打ちされながら、私の意識は遠くに行った。



M&Cは、ここ数十年で大きくなった会社。

その次期総裁の姿を、ひたすら瞳に映していた。


私の様子に気づくことなく、兄様は言葉を続ける。



「彼はグループ総裁の孫で、俺の大学の先輩だ」



そんなはずない……



「まだ30弱だけど、近々専務取締役に内定らしい」



あの人なわけ、無い……


でも―――…


< 147 / 204 >

この作品をシェア

pagetop