続・捕らわれ姫




「木崎社長のお嬢さんでしたか。
 いや、失礼しました。

 私は東堂 司です。
 忍君とは大学が一緒で、私が学生の頃から仲良くさせていただいてます。

 これからもお目にかかる時があるかもしれませんね。よろしく」



爽やかな笑顔。


でも……



「……忍さんの妹さんですって」


「あら…?
 でも木崎様には男子が二人だけでしたよね?」


「……親戚か何かの…」




木崎の名前に遠慮しながらも興味があるのを隠しきれず、私の耳に入る位の小さな声で話をする人たち。


そんな人達にも愛想笑いをし続けなければならないなんて……



忍兄様がパーティー嫌いなのがよく分かる。




「さくらさんとはお会いしたこと無いですよね」


「はい、社交場はまだ……。
 正式なお披露目は、来年になりそうです」


「ああ、さくらさんは学生なんですね?

 いや、私の弟も実は…」



兄様を介して東堂さんと話していると、私の後ろから彼を呼ぶ声がした。

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