続・捕らわれ姫





柔らかな声。



それは、女性の声だった。





「ああ…。

 申し訳ありません。まだ挨拶が終わってなくて……これで失礼します。

 さくらさん、どうぞ楽しんで下さいね」



最後まで爽やかな笑顔で「失礼します」と立ち去った東堂さん。


私も挨拶して見送った。





「疲れたか?」



小さく息を吐いた私に気づいた兄様が心配そうに顔をのぞき込む。



「いえ、大丈夫…」言いながら、東堂さんの後ろ姿を見つめていた。


あの人の姿は、ある人を思い出させる。……そんなわけ、無いのに……



上の空の私に、兄様は頭にポンと手を置き「顔色が悪い」と言って笑った。

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