続・捕らわれ姫
「――…忍兄様!」
「やっぱりさくらか…」
栗色のパーマのかかった髪がフワフワたなびいて、シルバーフレームの眼鏡の中の瞳は、私を映すと笑った。
「忍ちゃん!おばあちゃまが…っ」
「ああ、大丈夫だよ。
今は落ち着いて、容態も安定してる」
私を落ち着かせるように、ゆっくりと優しく説明する兄様に、私はしがみつく。
「父さんも母さんも来れないって言うから守が来るかと思ったけど、さくらだったか」
「守ちゃんは日帰りの出張で神戸にいるの」
「そうか…。
いや、参ったな」
「え?」
エレベーターを降りて特別室へ向けていた足が、止まった。
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