続・捕らわれ姫




「準備出来たら出て下さい」



準備室に入ると先生はいつものように荷物を持ち帰る準備をしていた。


私も慌てて最後の片づけをし、鞄を持ち出口に向かう。



―――あ!


一番大事なことをやり残したことに気付き、慌てて振り返るけど――


「姫、行くぞ」



先に廊下にいた関口君の呼ぶ声に、我に返った。



いま先生の連絡先なんて……聞けない。




仕方なく、廊下を進み振り返った。




「先生、さようなら」



準備室の鍵を閉めていた先生が、ゆっくり私に目を合わせた。



「さよなら。気をつけて帰りなさい」


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