続・捕らわれ姫




目と目が合って。


なのに、それ以上お互い口に出来ないのは―――


「姫、行くぞ」


「……うん」



“先生”と、“生徒”だから……






「姫野さん」



その声に、嬉しさを隠さず振り向いた。


今にも泣きそうな私を呼び止めた先生。
関口君は気にせず先を歩いてる。


私が先生の目の前に立つと…――


「忘れ物です」



私の手を掴み、いつもの物を握らせた。




「気をつけて帰りなさい」



ギュッと握った手を、ゆっくり放して私に背を向けた先生。


その後ろ姿に、抱きついてしまいたいのをぐっと堪え、私も関口君のもとへ向かった。



下駄箱で靴を履き替え外に出ると、すでに東の空は暗くなっていた。

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