続・捕らわれ姫




私の心の叫びが聞こえたのか、先生は「そうでした、すみません」と私の口元から手を離した。


その表情は、無表情。




「引き留めてすみませんでした。
 少し遅れてしまいましたが、授業を受けて下さい」


そう言って離れた先生の腕を、慌てて掴んだ。


先生は掴まれた腕を見た後、私に目を向ける。




「どうしましたか?」



少しも動じない先生に、私は泣きそうになる。





「先生は……私をからかってるんですか?」




こんなにも……


何も変わらないなんて―――…




「……いえ。
 すみません、なんでもないです。

 教室戻ります」



このままここにいたら、絶対に泣き出してしまうから。


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