続・捕らわれ姫




「帰りは気をつけて」



表情変えず、淡々と告げると、「少し職員室にいます」と準備室を後にした。


その言葉に、小池さんは泣きそうな顔で俯いたまま。



いい気味。……とは、素直に喜べない。



彼女の、先生を慕う気持ちが分かる今、私は何故か自分が冷たくされたような気持ちになってしまって……


「小池さん……」



小さな私の声が聞こえたのか、小池さんは涙を浮かべた瞳を私に向けた。




「もし良かったら……一緒に掃除する?」



自分の言葉にビックリしたけど、彼女も驚いたのか、目を見開く。



「先生も掃除してくれたと知ったら、きっと喜ぶと思うよ?」



………なんて。言いながら少し後悔。




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