tender spring
「芽衣、俺が買ってやるよ!」
俺の鍵についたブサイクうさぎを指差して興奮気味に言う遼太。
…美波さんのことライバル視しすぎ。
「えー、いいよわざわざ。」
「春斗の貰えば?」
隣にいた蒼空が言う。
俺がこれを手放すわけないって知ってて、わざと言ってるんだ。
「これは春斗にあげるために買ってきたやつだから、ダメだよ。」
俺が何か言う前に、美波さんが言った。
「ね、春斗。」
なんて、嬉しそうに笑うもんだから、もうそれだけでいい気がした。
ずっと俺の隣にいてくれなくても、こうやって俺のために笑ってくれるなら、それだけで十分だから。
「はい!」
ーENDー