tender spring
どこのドラマのワンシーンだよ。
見てるだけってわけにもいかなくて、一緒に散らばった小銭を拾った。
「…ありがとうございます」
同じ目線にある彼女の表情は優しく笑っていて、やっぱりどこか美波さんに似ていた。
「あの、ミルクティーとココアだったらどっちがいいですかね?」
「え?」
「どっちも飲みたいんですけどね、さすがに2つも飲めないから。」
俺が決めていいの?
「じゃあ…、ミルクティー?」
「ふふっ、ミルクティーですね。」
拾ったばかりの小銭を自販機に入れて、冷たいミルクティーのボタンを押した。
するとなぜかそれを俺に渡す。
「じゃああたしはココアで。」
ガシャン、という音と共にココアが出てきた。