tender spring
「じゃあ、俺ら行くんで!」
お辞儀をすると、美波さんも希龍さんも手を振ってくれた。
どうしてこのタイミングで会うんだよ。
仲良さ気に歩いていく2人は誰が見たってお似合いで、もう長く付き合ってるように見えた。
出逢ったのなんて、俺の方がたった1日遅かっただけなのに。
「ねぇ、ハル。」
「何?」
「ハル、あの人のこと好きなんだね。」
「…俺そんなに分かりやすいかな。」
由奈はこんなにも簡単に気づくのに、美波さんはずっと一緒にいても気づかない。
っていうか、そういう可能性を考えたことがないんだと思う。
美波さんの中での俺は間違いなく"弟"。