tender spring
「春斗、話し相手になってあげて。」
「任せてください!」
美波さんを見つめる希龍さんの目は、誰に向けるものよりも優しいものだった。
大事な人を見つめる目。
「行ってくる。」
「行ってらっしゃい!」
それは美波さんも同じだった。
希龍さんに頭を撫でられて、照れたように笑う美波さん。俺がいること忘れてんのかな。
「美波さん、何します?」
美波さんにとっての俺は、多分弟のようなものなんだろう。
少なくとも、男としては見てない。
「久しぶりだねー。」
やたらニコニコしてるから、多分今最高に上機嫌なんだろうな。