tender spring

「何いまさら照れてんすかー、そういうとこ希龍さんとは正反対ですよね。」

「あ、やっぱり?」


チリンチリン、とチビの首輪の鈴が鳴った。

近づいてくるチビを見て、美波さんは何か思い出したように立ち上がった。


「そうだ!」

「何すか?」

パタパタと走る音が部屋の中に響いた。

そしてカバンを持ってソファに戻ってきた。

はしゃぐ彼女は、とてもじゃないけど年上には見えない。


「あのねっ、見つけたよ!」

「見つけた?」

見つけたって、何を?

ゴソゴソとカバンの中を探ってる。

何を探してるんだろう。

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