Strong in the wind!
ベッドに臥せって一時間もぐずぐず泣いていただろうか。


「……紗凪。いるか?」


ノックはしないで、扉の向こうから充さんが私の名前を呼び掛けてきた。


紫野さんも一緒にいるみたいで、ひそひそと話し声がする。


むくりとベッドから起き上がり、今度は用心してそーっと扉を開けた。


良かった。


そこにいるのは、充さんと紫野さんだけだ。



二人は素早く部屋に入って、すぐに扉の鍵をかけた。



「はい、ご飯」


夕食が乗ったトレイを紫野さんが差し出してくれたので、ありがたくそれを受け取った。


「……一くんがさ、おかずの中の肉を取り除いてくれたんだよね」




紫野さんが私を痛々しげな瞳で見つめている。



いつもだったら、紫野さんが見つめてくれるだけでもぎゃーぎゃー騒いでるけど、今はとてもじゃないけどそんな気分にはなれないや。



「……お前、肉が食べれなくなったのは何でだ?」




充さんが、探るように聞いてきた。



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