ボクの瞳に映る一億の友達
一階のリビングには父の姿があった。
いつもの位置に腰を下ろし、新聞の記事に目を通している。
「おはようございます、お父さん」
「今日は教会に行く日だろう。何をしていた」
「…ゴメンなさい…」
「もう朝食はないぞ。外で済ませて来なさい」
はい…。言ってボクはリビングを抜け玄関に向かった。途中、父の再婚相手と、その間に生まれた子供がいたが、ボクの事など見えないかの様に、笑いながら朝食を食べている。
「……」
いつもの事。
玄関を出て外の空気を肺いっぱいに吸った。
そう…いつもの事なのだ。ボクがどんなに早起きしても朝食は出ないし、家族に喜んでもらおうと家の手伝いをしても、皆眉をひそめるだけ。
あの家の家族の中に、ボクは入っていないから…。