ボクの瞳に映る一億の友達
家は郊外にあり、食事をするにも学校に通うにも、町場まで行かなくてはいけないので、かなりの距離を歩かなければならない。
余りに遠く感じたので、ここに引っ越してきた当初、父に自転車を買ってくれる様頼んだが、生まれたばかりの弟にかかりきりで、いつしか忘れ去られてしまった。
広くはないがスッと伸びる一本道。
それを挟んだ右側はどこまでも続く海岸湶。左は鬱蒼とした森だった。
最近ではこの風景も見慣れ、徒歩が苦痛とも感じなくなっている。
「あれ~?アリアじゃない。ヤッホ~」
「あ、エマ…」
前方からかけられた声は、よく知る少女のものだった。
「あ、そ~だ。ちょっとアンタ!今日は教会に集まる日でしょ?ちゃんと参加しなきゃダメじゃない!」
「え…あ、うんゴメン。寝坊しちゃって」