ボクの瞳に映る一億の友達

エマは呆れたとばかりに、わざとらしいため息をついてみせた。

濃いブロンドの髪を頭の上できつく縛り上げ、いかにも気が強い感じの女の子だ。
エマも郊外に住んでいて、小さい頃からよく遊んでくれた。

「今から行ったってもう遅いんだからね」

「分かってるよ…町まで用事があるんだ」

ボクより三つ年上で、背も高いし腕っ節も強いので、エマにはいつも負かされている。

そんな彼女だが、お節介なくらい面倒見がいいので、学校でも人気者だった。

「ふ~ん……ねえアリア。アンタの背中のアレ、もっかい見せてみなさい」

「え!?い、嫌だよ何であんなの見たがるの…」

「いいから見せなさいってば!」

問答無用で掴み掛かって来るエマは、どうやっても引き剥がせない。
強引な力で思い切り服をめくり上げられた。

「うわぁ…やっぱりスゴイわね、アンタの背中の入れ墨…」

「入れ墨じゃないよ!子供の時からあったんだ」

めくり上げた下からは、もう見るのも嫌なモノが顔を覗かせている。

背中全体に渡り、入り組んだ黒い模様が浮かび上がっているのだ。

ボクにとって最大のコンプレックスである。

「学校で先生達にちゃんと言わなきゃ分かって貰えないわよ?みんなアンタの事ヤバい子って思ってるんだから!」

「………うん、分かった」

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